「違国日記」は『FEEL YOUNG』にて2017年より連載中のヤマシタトモコ先生の作品です。
この作品は100万部を突破しており、「第7回ブクログ大賞(マンガ部門)」を受賞を始めとして 、「このマンガがすごい!2019オンナ編」第4位、「マンガ大賞2019」第4位、「俺マン2019」第4位、「このマンガがすごい!2020オンナ編」第10位、「マンガ大賞2020」第10位など数々のマンガ賞にもランクインしている作品なんです。
そしてジャンルを超えた各メディアからも絶賛されていて、日本テレビ系朝の情報番組「スッキリ」の芸能人の方がお勧めの漫画を紹介するコーナー「ほっとコミック」にて、ティモンディの前田裕太さんさんが紹介していた作品でもあるんですよ。
お話は小説家の叔母が、両親を亡くした15歳になる姉の遺児である姪っ子を引き取り、性格が正反対な二人ながらも共同生活をして行く物語です。
この記事では「違国日記」を読んで面白いと思ったところや感想、読者の評判や評価についてまとめて行きたいと思います。
「違国日記」のあらすじ
35歳、少女小説家。(亡き母の妹) 15歳、女子中学生。(姉の遺児) 女王と子犬は2人暮らし。
少女小説家の高代槙生(こうだいまきお)(35)は姉夫婦の葬式で遺児の・朝(あさ)(15)が親戚間をたらい回しにされているのを見過ごせず、勢いで引き取ることにした。
しかし姪を連れ帰ったものの、翌日には我に返り、持ち前の人見知りが発動。
槙生は、誰かと暮らすのには不向きな自分の性格を忘れていた……。
対する朝は、人見知りもなく、“大人らしくない大人”・槙生との暮らしをもの珍しくも素直に受け止めていく。
不器用人間と子犬のような姪がおくる年の差同居譚、手さぐり暮らし。
「違国日記」の登場人物
高代 槙生(こうだい まきお)
人見知りの少女小説家。
姉夫婦の葬式で姉の遺児である朝を引き取った。
田汲 朝(たくみ あさ)
中学三年の冬に両親を交通事故で亡くし、叔母の槙生に引き取られる。
素直な性格。
笠町 信吾(かさまち しんご)
槙生の友人で元カレ。
じわじわ復縁奮闘中。
実里(みのり)
亡くなった朝の母であり、槙生の姉。
妹の槙生に対して高圧的だった。
楢 えみり(なら えみり)
朝の幼馴染みでもあり、同級生の親友。
塔野 和成(とうの かずなり)
朝の後見人である槙生を監督する弁護士。
醍醐 奈々(だいご なな)
槙生の学生時代からの友人。
「違国日記」のここが面白い!【ネタバレなし】
それぞれの登場人物が抱く孤独の物語
この作品はマンガというスタイルで発表されている作品ではありますが、主人公の槙生が小説家ということもあって、モノローグや槙生から発せられる言葉もとても文学的な印象を受ける作品となっています。
ストーリーの中心には15歳の朝の成長物語もありますが、主人公の槙生と人として生きにくい性格や亡くなった姉と確執、笠町との一度は失った恋の行方、朝の親友の恋の相手など、それぞれの登場人物の心にある孤独が描かれた物語なのだと思うのです。
どんな人間にも多かれ少なかれ人生のほころびがあり、親しい関係だとしても全てをわかり合うことは出来ないし、それぞれの置かれた環境の中で心に秘めた孤独は続いて行く、それでもお互いの関係性は続いて行くのだと、この作品は語っているのではないでしょうか。
そこのはよくあるマンガ特有の甘ったるさはなく、普段はマンガが苦手という方にもお勧めできる一冊となっています。
槙生の発する心に刺さるセリフ
槙生がその時々のシチューションで朝に向かって投げ掛ける言葉は、どんな時でも一定の距離感を保たれているが、決して突き放すわけでも自分自身に対しても朝に対してもある種の誠実さが込められている気がします。
その言葉は様々な環境でこの作品を手に取っている多くの読者の方達に対して投げ掛けられた言葉のように、それぞれ作品を読んだ人達の心の奥に刺さるのではないでしょうか。
槙生と朝の共同生活ストーリー
槙生の姉である実里と内縁関係だった父が事故で亡くなったことによって遺児となってしまった朝、葬式で親戚に盥回しにされている様子を見かねて衝動的に朝を引き取ることになった槙生ですが、そもそもの性格が人見知りで部屋が散らかり放題の槙生と人なつっこくてきれい好きな朝、年齢も生きて来た環境も全く違う二人の近すぎず遠すぎずな距離感の二人暮らしが、これから先、朝が大人になって来た時にどんなふうに変わって行くのかがとても楽しみだったりします。
好きなことをやりなさいと言いつつも束縛するタイプだった母の実里とは違うタイプの槙生との生活を通して、自分探し真っ最中の朝が将来何を目指すのかまで描かれたら良いなと期待しています。
「違国日記」の評判や評価
「違国日記」の感想と評価や評判|まとめ
「違国日記」はひょんなことから偶然に1巻を試し読みして、そこからずっと買い続けていた作品だったりします。
主人公の槙生を始めとして、両親を事故で亡くした朝が最初は自分の突然陥った境遇や孤独に対しての言葉が見つからず、ただひたすらに眠り続けているシーンや突如親が死んでしまったことを実感して号泣するシーン、そして中学生から高校生に成長して行く年相応な感情の描き方はとてもリアルで、さすがヤマシタトモコ先生だなと唸ってしまいました。
朝と同世代のみならず槙生と同世代の方達にもぜひ読んで頂きたい一冊です。
気になった方はぜひ手に取ってみて下さいね。